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両立支援夫婦すれちがい会話相談室

映画『うまれる』監督の豪田トモ氏が解説!「つわりで家事ができず機嫌が悪い妻。理不尽な気持ちが拭えないのですが」 - #04

2019年06月10日

何気ない夫婦の会話なのに、ふとしたきっかけで"すれちがい"が発生すること、ありませんか?そこで、「夫婦すれちがい会話相談室」では、実際の会話と相談内容を元に、専門家が会話のポイントをアドバイス!今回のアドバイザーは、90万人を動員した映画『うまれる』『ずっと、いっしょ』の監督であり、初の小説『オネエ産婦人科〜あなたがあなたらしく生きること〜』を出版した豪田トモ氏。

プロデューサーの奥さまと二人三脚で、命と家族をテーマとした作品を作り続け、自ら計1年間の育休も実践されたワーキングファザー。これまで多くの家族を取材し、特に産後うつ経験のある女性50人の取材から見えてきたという、育休中妻への夫の対応をアドバイスいただきます。

  • 気分悪いの

  • じゃあ、夕飯は簡単でいいよ

  • ・・・・・

  • そんなに具合が悪いなら病院に行ったら?

  • つわりなんだから、しょうがないじゃない!

  • ・・・・・

【相談内容】

育休中に2人目を妊娠した妻が、「気分悪い」と横になってばかりで家事をしません。遠慮して「夕飯は簡単でいいよ」と言うと、カップ麺やレトルトカレーが置いてあるだけ。2人目の妊娠前まで、ご飯は作って家事もしてくれていました。最近、上の子は近所の親戚に預かってもらうことが多く、病院に行くよう促しても「つわりだからしょうがない」と機嫌が悪いのです。上の子の妊娠中につわりはなく、サボっているようにしか見えません。週末は私がお弁当を買ってきて、洗濯、掃除、子どもの世話と、くたくたです。理不尽な気持ちが拭えません。(男性会社員)

<夫側=「つわりだから」と言われたら?>

映画『うまれる』監督 豪田トモ氏

お疲れサマンサ〜!再び登場の、懐かし言葉・死語マニア、豪田トモです!また少しダベさせていただきますよ〜。 さて、今回も勇気を持って、ご相談をしてくださった旦那さん、あなたチョベリグ!なんとかしたいですよね。ただね〜......、正直に言うと、あなた、妊娠・出産について、知らなさすぎるぞ、おい!的な印象が見受けられますぞー。

つわりで「気分悪い」と言う奥さんに、「病院に行け」というのは、ご自分では気づかれていないかもしれませんが、これ、チョベリバと言っていい対応! 本来であれば、「そうか。つわりで辛いんだね......。何かできることある?」と受け止めるべきところ。この基本が分かっていないあなた、ちょっと今後の夫婦関係が心配です。

奥さんは「育休中」とはいえ、家では「休みなく」手がかかる乳幼児の子育て中。そんな中でのつわりは、とってもしんどいはず。それに、第一子の時にはつわりはなくても、第二子以降で起こることもありうる、という妊娠の基本について、あなた、ご存知ないですね〜?

また、気分の悪さって、言葉で伝わりにくいもの。あなたも最も気分が悪かった時のことを思い出してみてください。自分が助けて欲しいことを、理路整然と伝えることはできるでしょうか?

はっきり言いましょう。あなたは、あなたとのお子さんを命がけで産み育て、もう一人、お腹の中で育んでくれている奥さんに「つわりよりも気分が悪くなる対応」をずっと続けている可能性があります!

あなたの論理も分かります。一生懸命働いて疲れて帰ったら、レトルトご飯じゃ寂しいし、ずっと気分が悪いなら改善するよう動いて欲しいですよね。とっても分かります。ただ、妊娠・出産、子育てにおいて、あなたの「これまでの論理」は、おそらく通用しない面が多々あるんですよ。

僕は10年に渡って、妊娠・出産・育児に関して、様々なご家族を取材・撮影をさせていただいてきましたが、今のあなたの対応では、奥さんは冷めてしまう可能性大! 間違ってたらアイムソーリーですが、文面から、奥さんはあなたに助けを求めることや、話し合うことを諦めてしまっている気配がバンバンします。

産後、急激に夫婦仲が悪化する現象は「産後クライシス」とも言われていて、ある大学の調査では「産後2年以内に夫婦間の愛情が急速に冷えた」と回答したカップルが約半数もいたという結果もあります。 実際にここで離婚に至るご夫婦もいれば、冷めた夫婦関係のまま後に離婚、ということもありますが、妊娠・出産時にどのくらい夫が妻をサポートしたかによって、あなたの家庭人生は大きく変わりますよ。

ということで、前回は「仏の顔」でアドバイスさせていただきましたが、今回は心を鬼にして「鬼の顔」にならせてもらいます!

奥さんがつわりで大変な時期、週末に家事とお子さんの世話をあなたがするのはね......、当たり前田のクラッカーなんだよぉぉぉー!それが2人の子のパパになるということ! あなたもお仕事で忙しいとは思いますが、パパになるということは、これまでの生活や考え方からの変容が必要です。

「そうか、もしかしたら俺にも反省すべき点があったのかな」と思っていただいたら、ぜひ次のステップを読んでください。まだまだギリチョンセーフ!一緒にガンバルンバしていきましょう!今回も2ステップでお答えしますよ〜。

<ステップ1>「辛いのに、気遣えなくてごめん」と謝りましょう

映画『うまれる』監督 豪田トモ氏

まず、奥さんには「つわりで辛いのに、気遣えなくてごめんね」と伝えてあげましょう。「気分が悪い」と言っているのに、受け止めず、寄り添わず、サボってると思っていたことは、夫としてマンモス級のチョベリバ。そして、ちょっとレベルアップして、「ご飯食べてる? 何か買ってこようか」とか、「夕飯は僕が作ろうか」とか、あなたから歩み寄って、気遣い、労う言葉をかけてあげましょう。実はあなたからの、そんな優しい言葉をずっと待っているかもしれませんよ〜。

命を産み、育てるということは、家事や仕事のように「役割分担」して切り分けることが難しい分野。奥さんの体調が悪い時期はなおさらです。でもね、「家庭と仕事」って全く違うように見えて、実は密接につながっています。見方を変えれば、仕事に活かせる非言語コミュニケーションを身につける、すっごくいい機会にもなるんですよ。

僕には8歳の娘がいるんですが、娘が赤ちゃんの頃の半年間、育休を取って子育てに積極的に携わりました。その間、娘が泣く理由がなかなか分からなかったのですが、「男脳」で分析しながら、毎日、ずーっと観察してみたところ、徐々にですが、理由はだいたい7つくらいに集約されるとわかってくるようになってきたんです。

赤ちゃんが何を求めて泣くかがわかってくると、不思議なことが起こり始めました。次第に、「奥さんが求めていること」もわかってくるようになってきたんですよ。

結果重視の傾向の強い男性って、どうしても言語化される部分だけで理解しようとしてしまうケースが多いと思うんですが、人間のコミュニケーションにおいて、場合によっては「言語化できない微妙な部分」が非常に重要だったりします。

その「非言語のコミュニケーション能力」が、僕は喋れない赤ちゃんと向き合い続けたことによって、飛躍的に高まったんですね。それによって全般的なコミュニケーション能力が高まり、仕事においても、職場の同僚や上司部下、取引先が求めていることもわかってくるようになりました。

仕事の能力って、コミュニケーション能力に比例することが多々あります。「赤ちゃんをよ〜く観察して非言語コミュニケーションを学び、デキる男になる!」って、新鮮でしょ? まだ誰もやっていないから、これ、ブルーオーシャン!「子育てすれば出世する時代」が、もうすぐ来るかもしれませんよ。

手前味噌ですが、僕が作った『うまれる』そして『ずっと、いっしょ。』というドキュメンタリー映画、最近書いた小説『オネエ産婦人科』は、妊娠・出産・育児について学んでいただくのにぴったしカンカン。男性にとっては分かりにくい妊娠のメカニズムや女性の心理、父親の役割、人生の中で子どもが育っていくこと、などについて如実にご理解いただけると思いますので、もし良かったら参考にしてみてください(って宣伝ね!)。

<ステップ2>ハグしてデートに誘い「I Love You」と言いましょう

次の段階では、奥さんとのスキンシップを増やしてみましょうか。ギュッとハグるんです。ハグは物凄い効果があるんですよ。幸せや愛情を司るホルモン分泌が活発になったり、ストレスが緩和されるという海外の研究論文もあります。

そして、奥さんのつわりが落ち着いたら、デートに誘ってルンルンの楽しい時間を過ごす!もしかしたら、最近、二人だけの時間を設けてないですよね?「忙しくてデートする時間なんてないよ」な〜んて言ってませんか? 「ボーシェット!」 (Bull Shit!=和訳「ふざけるな!」) それは言い訳!時間はつくるもの!子どもの預け先だって、その気になれば工夫次第で見つかりますよ。

奥さんを一人の女性として大切に扱い、二人で語り合えば、気持ちも落ち着いて前向きになり、子育てへのエネルギーにもなってくれるかもしれません。奥さんはあなたに「ホの字」で結婚したんです。デートは永遠にフォーエバー、一生、必要。デートに誘わなくなった男性には、ほぼほぼ、しっぺ返しがきますよ。気持ちがあなたから遠ざかり、取り返しがつかなくなる可能性も! ハグしてデートに誘う。これは夜の夫婦生活よりも大切かも!(キャッ!)

手前味噌ですが、僕はね〜、妻のことをしょっちゅうハグするんすよ(キャッ、恥ずかしい!) 。それは僕が若い頃、カナダに4年間住んでいて、最もよく目にした光景の一つがハグだったからかもしれません。日本人って一生懸命に欧米の真似をしますけれど、僕は、欧米から最も真似すべきは、「ハグ」して、「デート」に誘い、「I Love You」と言葉にする、この3つだと思いますね。デートして、奥さんに寄り添って話を聞いてあげてながら、楽しい時間を過ごしてみましょうよ。忙しいあなたも、もしかしたらそういう時間を求めているのでは? ですよね?ですよね?

<妻側=つわりの辛さを理解してもらえないときは?>

映画『うまれる』監督 豪田トモ氏

辛さを説明して、気遣えない理由を伝えましょう

まだ小さな赤ちゃんを育てながら、つわりで苦しい状況というのは、マンモス大変な日々とお察しします。まだ手のかかる乳幼児のお子さんを育てながら、出産に向かい、2人の子育てをしていくには、旦那さんの理解と協力が必要不可欠ですよね!(2人の子なのに「協力」というのもヘンな話ですがね) ところがどっこい、あなたの旦那さんには、まだその自覚が薄いようなので、不本意かもしれませんが、あなたが手綱を取ってトレーニングしてあげないといけなさそうです(笑)。

言葉にしなくても察して欲しい、という期待は当然だと思いますが、残念ながら、言語化されないことを察するのって、多くの男性にはとても苦手なんです。

まずは、旦那さんが理解できていないつわりの辛さを、言葉で説明してみてはどうでしょう。そして「あまりにしんどくて、あなたのことを気遣えないの、ごめんね」とか、「気分が悪くなってどうしても料理ができないの。悪いんだけど、夕飯は自力でなんとかしてもらえないかな?」と加えれば、旦那さんも「そっか、しょうがないか」となるかもしれませんよね。できない理由と現状、具体的にどうしてほしいかを説明することが大切です。

そして、旦那さんが家事や育児をやってくれたとき、「ありがとう、すごく助かるわ!」と感謝の気持ちをオーバーなくらいに、伝えてみてください。旦那さんはより、あなたにサポーティブになってくれるようになると思いますよ。そして、あなたは女優になって、決め台詞を一言!「うれしい、ありがとう。あなたと結婚してよかった!」これでオールオッケー!!男はおだてると喜んで木に登っちゃう輩が多いですから(笑)。

では、この辺りでドロンします。僕のダベリがお二人の少しでもお役に立てていれば、マンモスうれピーです! お二人の、そしてお子さんの幸せな人生を応援していますよー!バイなら〜。

プロフィール

豪田トモ氏

豪田トモ氏

映画監督・作家。命と家族をテーマとしたドキュメンタリー映画『うまれる』『ずっと、いっしょ』(文部科学省選定・厚生労働省社会保障審議会特別推薦)は累計90万人を動員。2019年に初の小説『オネエ産婦人科』を刊行。子育ての明暗を面白おかしく描いた新作映画『ママをやめてもいいですか〜?(仮)』を近々公開予定。

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