女性の活躍 働く女性が知っておきたい<カラダの不調と向き合うコツ>

眠い、だるい、やる気が出ない…これって更年期障害?更年期っていつからいつまで?~40・50代の働く女性が知っておきたい【更年期症状】について Vol.1~

眠い、だるい、やる気が出ない…これって更年期障害?更年期っていつからいつまで?~40・50代の働く女性が知っておきたい【更年期症状】について Vol.1~

「人生100年時代」「女性活躍推進」という言葉がよく聞かれる今、働く女性の数は増え、働く期間も長くなっています。また、管理職など責任ある立場で活躍する女性も増えつつあります。一方で、女性は年齢やライフステージごとに女性特有の体調不良を抱えていることも。

このシリーズでは、働く女性が自分らしくキャリアを重ねていくためのサポートとして、カラダの不調と向き合いながら働く上で役立つ知識やケアなどについての専門家のアドバイスをお伝えします。今回は、産婦人科専門医の関口 真紀先生に「更年期の不調の原因や症状」について教えていただきました。

※この記事の内容は、リリース当時(2024年5月現在)のものです。最新の情報については、公的機関のサイトなどをご確認ください。



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更年期とは…?早ければ40代の初めから始まる人も

更年期と聞くと「顔が急にカアッとほてる」「あちこち体調が悪くなる」という身体の不調をイメージする人が多いのではないでしょうか?また、40代に入ると「この先、更年期の症状が出たらどうしよう…」「イライラや汗が止まらない。もしかして更年期かも?」といった心配や「私はほとんど生理痛もないから、更年期も大丈夫なはず」など、自分自身の更年期について思いを巡らせることもあるでしょう。とはいえ、多くの場合は「更年期」の言葉の意味やその実態についてきちんと理解できていないまま、漠然と不安や思い込みを持ってしまっているように感じます。

更年期を乗り越えるためには、まずは「更年期」、「更年期障害」といった言葉の意味や、不調が起きる仕組みを知ることが大事。また、更年期は一時的なものでそれを過ぎれば元気になるという方も多くいます。今、更年期を迎えている人も、これからの人も、人生100年時代、イキイキと元気に動けるカラダを目指して、まずは更年期にまつわる正しい知識を持つことから始めてみましょう。


更年期はいつからいつまで?更年期症状と更年期障害の違いとは?

更年期とは「閉経の前後5年間のトータル10年間」を指します。そして、その更年期に現れるさまざまな不調の中で、他の病気を伴わないものを「更年期症状」といい、その中でも症状が重く日常生活に支障をきたす状態を「更年期障害」といいます。つまり、更年期は誰もが経験するホルモン変化の時期を指し、その時期の不調で、特に症状がつらくて治療が必要な状態が「更年期障害」なのです。


更年期の起点である閉経の前兆って?生理周期の乱れは更年期ケアを始めるサイン

(図表1)女性ホルモンの分泌量の変化女性ホルモンの分泌量の変化

更年期の起点となる「閉経」とは、「生理が1年間こない状態」のことです。日本人の閉経年齢(の中央値)は50.5歳ですが、個人差があり、およそ45歳~56歳の幅で閉経を迎えるといわれます。また、喫煙者や瘦せ型(BMIが18.5未満)の体格の場合は、閉経する年齢が早いといわれています。つまり、更年期が始まるタイミングは人によって異なり、早い人では40代前半で更年期を迎えます。この40~50代は家庭や職場でも重要な役割を担う時期でもあり、更年期の症状を抱えながら子育てや介護、そして仕事との両立に悩む声を聞くことも少なくありません。

また、閉経は、生理がない状態が1年間続いて初めてそう言えるものなので、その時に「これが最後の生理だ」と分かるものではありません。閉経の仕方も人それぞれで、順調だった生理が、ピタッとこなくなったという人もいれば、生理の周期が短くなったり長くなったりと乱れていくうちに、数カ月こなくなりいつのまにか生理が止まった、という人もいます。診察の際に「生理の出血がドバーッと多かったら、それが終わりの合図ですか」とよく聞かれますが、閉経前は出血量が多い月があれば少ない月もあるなど生理が乱れがちですので、出血が非常に多いからといって最後の合図とは限りません。

ただ言えるのは、「生理周期が乱れてきた」「出血量が多くなった・少なくなった」「1回の生理が短くなった」といった生理の変化は、いずれにせよ「そろそろ閉経に近づいてきていますよ」というサイン。更年期を意識したセルフケアを始めるタイミングだと理解してもらえばと思います。なお、子宮の手術後で生理がなく、閉経の判断ができない場合は、血液検査により女性ホルモンの分泌量を測定することで、診断が可能です。


更年期の不調・更年期障害の原因は女性ホルモン「エストロゲン」の減少

では、なぜこの時期に多くの女性が不調を感じるのでしょうか?

更年期の不調の原因は、女性ホルモンである「エストロゲン」の減少です。エストロゲンが不足すると、脳が「もっとエストロゲンを出して!」と指令を出します。しかし、機能が低下した卵巣はそれに応えられずエストロゲンは不足したままに。すると脳が混乱状態に陥り、同じ脳が司る自律神経の調節機能などにも乱れが生じ、のぼせやほてり、発汗などの不調を引き起こします。また、エストロゲンは、卵巣以外にも肌や髪の毛、認知機能や食欲、血管や骨、コレステロールや中性脂肪などに作用して、女性のカラダをサポートしています。更年期になり、このエストロゲンのサポートが減ることで、さまざまな不調が生じるのです。

また、更年期の症状は単にエストロゲンの減少だけではなく、仕事や家庭などの環境要因、ストレスや性格などの心理的要因などが重なって症状が発現するといわれています。特に40~50代は、子育てや親の介護、仕事の人間関係、夫婦間の問題、将来への不安など、多くのストレスを抱えています。ストレスの負荷から症状が強まったことで、不調を自覚する人もいます。

更年期の不調の原因となる女性ホルモンの減少は誰にも起こりますが、更年期症状の程度が人それぞれである理由は、このようにさまざまな要因が複雑に絡み合っているからです。

(図表2)更年期障害の原因更年期障害の原因


顔のほてり、止まらない汗…これって更年期?主な更年期症状とは

ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ・急な発汗)や、不眠、気持ちの落ち込み、だるい、疲れやすいなど、更年期の症状は多様で、その数は300以上あるともいわれますが、大きく三つに分類することができます。

・自律神経失調症状:のぼせ、汗、冷え、動悸、疲れやすさ、めまい、肩こり、頭痛 など
・精神的症状:情緒不安定、イライラ、怒りっぽくなる、気分がふさぐ、涙もろくなる、やる気が出ない、不安になる など
・その他の症状:腰痛、関節痛、筋肉痛、手足のこわばり・しびれ、むくみ、吐き気、腹痛、肌の乾燥、デリケートゾーンの悩み、トイレの悩み など。


(図表3)更年期症状の発生頻度 生理痛のメカニズム

実は、更年期症状には、自分では更年期の不調だと気付きにくいものも多くあります。上記のグラフからも分かるように「肩こり」「疲労感」「頭痛」など、更年期以前にも感じていた不調が、更年期になると一層つらく感じるケースも多くみられます。また、他の症状についても、それが更年期に起因するものだと思わずに、例えば動悸であれば内科、めまいなら耳鼻科、頭痛は神経内科、手のこわばりは整形外科を受診する人も多いのではないでしょうか。ただ、そこで病気が見つからない場合は更年期に起因するケースも考えられますので、つらい症状をそのままにはせず、婦人科に相談してみましょう。


更年期障害かな?と思ったら、まずはセルフチェックをしてみよう

更年期は誰にでも訪れるもの。ここで紹介する更年期簡略指数(SMI)を使って、あなたの更年期の症状をチェックしてみましょう。


(図表4)更年期簡略指数(SMI)チェックシート 更年期簡略指数(SMI)チェックシート


ダウンロードはこちらから ▼

「更年期簡略指数(SMI)チェックシート」


合計点数が高いほど、症状の程度が重くなります。採点結果が51点以上の場合は、「更年期障害」の可能性がありますので、婦人科を受診することをおすすめします。また、「更年期障害の症状と対処法」については以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひ併せてお読みください。

【更年期症状】について Vol.2
【更年期症状】について Vol.2



更年期は自分のカラダや生活スタイルと向き合う機会と捉えて…

ここからは年代ごとのよくある更年期の症状や、更年期以降の疾病についてお話しします。およそ10年間といわれる更年期において、初期は気になるほどではなかった場合でも、後半になると新たな不調の症状が出たり、悪化したりと症状や程度が変化するため注意が必要です。

(図表5)更年期以降の年代ごとに見られる不調 更年期以降の年代ごとに見られる不調

更年期の入り口のサインは、先ほどもお話ししたように「生理の周期や出血量の変化」です。更年期の初期には、のぼせやほてりの症状が多く見られ、その後、さまざまなココロとカラダの不調が現れます。更年期の後半になると泌尿器系の不調もよく見られます。例えば、膣内が乾燥しやすく過敏になり、かゆみや痛みを感じることも。またエストロゲンの低下は、子宮脱などの骨盤臓器脱、尿漏れや排尿の回数が多くなるなどの排尿トラブルとも関係しています。これらは、閉経関連泌尿生殖器症候群(GSM)とよばれ、産婦人科だけではなく、泌尿器科で治療が必要な場合もあります。更年期の女性のおよそ1割が、重いものを持ち上げたときや、走ったり、くしゃみをしたりしたときの尿もれの症状を自覚しているともいわれています。尿漏れの症状に対しパッドを使うことでかぶれやすくなったり、外出を控えるような状況であれば、婦人科または泌尿器科の受診をおすすめします。

そして更年期の症状が落ち着いてきたら、その後は生活習慣病に関係する症状が気になる年代。中性脂肪やコレステロールの上昇による動脈硬化や高血圧、骨密度の低下による骨折、認知機能の低下などのリスクが高くなります。健康に過ごすために食事や運動も上手に取り入れていきましょう。

更年期は誰でも通る道ですが、急な体調の変化に戸惑う人も多いはず。ただ、更年期を上手に過ごすことで、その先の病気の予防にもなります。この機会に生活スタイルやストレスとの付き合い方を見直すことで、更年期症状を軽くするだけでなく、更年期後も元気に働くことへとつながっていきます。また、身体への負荷を減らし、生活の質や仕事のパフォーマンスを維持するためにも、自分に合った治療を取り入れることで、更年期を元気に過ごしていきましょう。


【Q&A】更年期前の30代も、真っただ中の40-50代のあなたも知っておきたい!「更年期」の気になる悩みや疑問にお答えします

更年期Q&A


更年期の不調について気になる点や不安に思うことについてQ&A形式でまとめました。ぜひ参考にしてください。

Q:更年期症状が出やすいタイプはありますか?
A:例えば、ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)は閉経年齢が早かったり、運動不足や肥満、喫煙と関係があります。また、抑うつ症状は、産後の抑うつ障害や生理前の気分障害(PMDD)と関係しているといわれています。また、ストレスに弱い、消極的で物事について考え過ぎたり、落ち込みやすい人も、更年期の症状がひどくなる傾向にあります。日頃から、ストレス解消に努め、リラックスして過ごすよう心掛けましょう。

Q:どんな更年期の症状がある場合に病院で診察してもらった方がいいですか?
A:日常生活や仕事に支障がある場合は、どんな症状でも、迷わず婦人科を受診してください。ホットフラッシュがひどくて外出できない、仕事に集中できない場合や、だるさがある、やる気が出ないといった場合も仕事のパフォーマンスは下がってしまいます。「これくらいならまだ頑張れる」と思わずに、早めに自分に合った治療を取り入れていきましょう。

Q:更年期の症状はいつまで続くのですか?
A:更年期の症状は50代に多く見られ、年齢が進むにつれて軽快していきます。60代になると自覚症状がある人は少なくなっていきます。

Q:将来の更年期症状が心配です。30代のうちからできる対策はありますか?
A:女性ホルモンのリズムを整える上で大切な「適度な運動」や「規則正しい生活リズム」、 「十分な睡眠」を心掛けましょう。その上で、生理不順や生理前の不調(PMS・PMDD)がある方は、婦人科で治療を受けましょう。30代から婦人科のかかりつけ医を持ち、悩みや不安を相談できるようにしておくことも安心につながりますね。

Q:更年期症状に効果的な食事やサプリはありますか?
A:バランスのとれた食事を心掛け、たんぱく質、ビタミン、カルシウム、鉄分が不足しないように気を付けましょう。また「大豆食品」を毎日取るのもおすすめです。大豆イソフラボンが腸内細菌によって「エクオール」に変わると、女性ホルモンであるエストロゲンに似た作用を持ちます。エクオールは、更年期症状や肌のしわ改善に効果があります。1日の摂取目安は、大豆イソフラボンとして、1日30~70㎎。豆乳(無調整)200mlなら40~70mg、納豆は1パック(40g)なら30㎎、木綿豆腐1丁(300g)では80㎎ ほどが摂取できます。

Q:年齢を重ねると太りやすくなりますが、更年期の症状と関係がありますか?
A:更年期になると代謝が低下し筋肉量も減り、逆に内臓脂肪が増えやすくなります。その結果、お腹周りが気になり始めます。また、肥満はホットフラッシュと関係があり、体重を減らすなど肥満を改善することで症状が軽くなります。

ここまでの【Vol.1】では、更年期の不調について知っておきたい知識やセルフチェックの方法などについてご紹介してきました。更年期は誰もが経験するホルモン変化の時期。不調とうまく向き合いながら、乗り越えていきましょう。【Vol.2】では、更年期のつらい症状を抱えている人に読んでいただきたい「更年期障害」への対処法についてお話しします。ぜひそちらも併せてご覧ください。


関口 真紀さん産婦人科専門医

産婦人科専門医/医学博士
関口 真紀さん

公立病院で研修後、大学病院でがん患者さんの治療を担当。出産後は健診クリニックに勤務し、年間6,000人以上の子宮頸がん検診を担当。産婦人科医としての26年のキャリアを生かし、SNSなどで、生理痛・生理前のイライラ・更年期症状について、その仕組みやセルフケア、治療法について発信中。女性のさまざまな悩みを聞き、その対処法を伝えている。婦人科お悩みトリセツ主宰。
instagram @sekiguchi_fujinkatorisetsu


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