両立支援 iction!のイベント

今後の両立支援はどうあるべきか〜育児と介護の未来を考える、iction!セミナーを開催

iction!の取り組みイベント介護

2016年12月20日

iction!セミナー 今後の両立支援のあり方を考える

2016年11月4日、リクルートグループは、企業の人事やダイバーシティ担当者を対象に 「iction!セミナー 今後の両立支援のあり方を考える 〜育児介護休業法改正を受け、企業はどう対応していくべきか〜」を開催しました。

※iction!とは、「子育てしながら働きやすい世の中を、共に創る。」をキーワードに、「はたらく育児」を応援するプロジェクトです。

会場には、100名を超える人事/ダイバーシティ推進担当者が集まった

会場には、100名を超える人事/ダイバーシティ推進担当者が集まった

 

今回で3回目の開催となるセミナーの第1部には、株式会社ワーク・イノベーション、 特定社会保険労務士の菊地加奈子氏が登壇。「育児介護休業法の改正で企業に求められること」と題して、 2017年1月に改正される育児介護休業法のポイントをお話しいただきました。

いざというときに働けない、母親の脆さを痛感

現在5人の子どもを育てながら社労士の仕事と保育園の運営を両立する

現在5人の子どもを育てながら社労士の仕事と保育園の運営を両立する

 

今回登壇した菊地氏自身も、女性としてのキャリアに悩み続けた1人。妊娠・出産を機に退職、専業主婦として子育てに励んでいたものの、 パートナーの夫が突然会社から給与35パーセントカットの通告を受けます。

これまで家事や育児をこなしてきたものの、「働く」という点でパートナーを支えることができない自分に気づき、 母親になった女性が働けないことの脆さと危機感を感じたそうです。

その後6年半の専業主婦生活を送り、33歳で社会保険労務士として開業した菊地氏は、 「どんなにブランクがあっても、人生は遅すぎることはない」と語り、運営する保育園をふくめて、女性の両立施策に取り組む各企業の事例を紹介しました。

両立支援事例

キャリアの断絶ではなく、キャリアチェンジを

菊地氏によると、現在、出産を機に仕事を辞めてキャリアが途絶えてしまった人の多くが、社会復帰する時に非正規雇用で採用されているという現実があります。 その人たちがもう一人出産したいと思ったときに再び仕事を辞めてしまうことなく働き続けられる環境を作っていくことが重要になります。 非正規で社会復帰しても、再びの出産に際しては育休が取得できて、やがて正社員転換されるというようになれば、 「キャリアブランク」からの「キャリアチェンジ」になったといえます。

今回の育児介護休業法改正(育児)の主な目的は、ライフスタイルの多様化に伴い、職場復帰して管理職を目指す人も、 バランスを取るために自らの意思でパート・短時間勤務の働き方を選ぶ人、もしくは法律上の家族関係にない子どもの養育をする人も柔軟に働き、 両立していけるようにすることを目的としています。

育児介護休業法改正(育児)

菊地氏は、「キャリアの断絶ではなく、キャリアチェンジを」という考え方のもと、働く女性に情報提供を図り、 両立支援を推進していく必要性を語りました。

また、妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする不利益取扱い等の防止の徹底やマタニティ・ハラスメント対策のために、 個人だけでなく会社全体の風土の醸成が求められます。

さらにもう1点、今回の法改正で大きなウェイトを占める介護の両立支援では、介護離職10万人と言われる社会課題を改善し、 終わりの見えない介護を長期的にカバーする6つのポイントが挙げられました。

育児介護休業法改正(介護)

「両立支援施策の次のステージへ」

セミナー第2部には、リクルートコミュニケーションズ代表取締役社長・清水淳氏、 リクルートマーケティングパートナーズ・企画統括室・人事企画グループの山田和秀氏、 スリール株式会社・プログラムコーディネーター企業担当の伊藤諒子氏の3名が登壇。

「男性の育児休暇取得必須化」は大きな注目を集めた

「男性の育児休暇取得必須化」は大きな注目を集めた

 

「両立支援施策の次のステージへ」をテーマに、「男性育児休暇取得を必須化」と社員向け育児体験プログラム 「育ボスブートキャンプ」の施策を導入した背景とその効果について語りました。

リクルートコミュニケーションズ代表取締役社長・清水淳氏は、自身が着任した当初の長時間労働の問題を振り返り、 働き方を改善するために取り組んできた同社の育児支援制度と2016年4月に変更・導入した3つの制度を紹介。

育児支援制度と2016年4月に変更・導入した3つの制度を紹介

日本国内の男性の育児休暇取得率が2.65%(厚生労働省による2015年度の雇用均等基本調査より)に対して、リクルートコミュニケーションズではこれらの制度を導入した2016年4月以降に、同社で子どもの出生を経験した男性社員は13名(9月時点)、内9名がすでに育児休暇を取得しているとの結果を受けて、 「常識を変えないかぎり、働き方も含めて変えていけない」と、制度導入の手応えとさらなる制度充実への意欲を見せました。

「育ボスブートキャンプ」で変わる"社員の視点"

「育ボスブートキャンプ」導入の背景を語る、山田和秀氏

「育ボスブートキャンプ」導入の背景を語る、山田和秀氏

 

リクルートマーケティングパートナーズ・企画統括室・人事企画グループの山田和秀氏は、スリール株式会社と共同開発した、 「育ボスブートキャンプ」の事例を紹介しました。

「育ボスブートキャンプ」とは、マネジャーが子どもを持つ部下の家庭で4日間の子育てを体験、ワーキングマザーの現実を学ぶことで、 ダイバーシティー&インクルージョン等の意識向上を図る育児体験プログラムです。

育ボスブートキャンプ

同プログラムを導入した背景は、女性の活躍を推進するだけでなく、会社全体で生産性を高める「働き方改革」に取り組んできた中で、 次なるステージである「多様な個が活躍できる」会社を目指すためとのこと。 山田氏は、「ライフもワークもお互いに理解し合い、愛を持った社員を増やしたい」と同プログラムへの思いを語りました。

「育ボスブートキャンプ」を共同開発した、スリール株式会社の伊藤氏は、 「実は子どもと向き合うことが、他者を理解する第1歩と位置づけている」とし、同プログラムによって 得られるマネジメントの変化と仕事の効率化の変化を紹介。

実際に今回体験されたマネジャーからは、「メンバーへの声かけの仕方が変わった」という生の声が届いたり、 メンバーからも「ここまで聞いてくれるんだったらマネジャーが自分のことを理解してくれている」という腹落ち感が見られ、 とても良い関係性が築けているとお話しいただきました。

パネルディスカッションの後は、参加した企業担当者による質疑応答を実施。 これからの「働き方改革」について考える、実りの多い1日となりました。

 

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