多様な働き方

マーケターなどの経験を生かしクラブの収益増を目指す - スポーツとビジネスを語ろう

2021年09月23日 転載元:リクルート ワークス研究所

マーケターなどの経験を生かしクラブの収益増を目指す - スポーツとビジネスを語ろう

ビジネス界からスポーツ界に転身し、活躍している人々を取り上げる本連載。今回は、マーケターや起業家、インフルエンサーとして活躍し、2018 年にJリーグ栃木サッカークラブの取締役マーケティング戦略部長に就任した江藤美帆氏に話を聞いた。サッカー界に転じたきっかけ、スポーツ界で生きている過去のビジネス経験、そして、江藤氏がサッカークラブで実現したいこととはなんだろうか。 聞き手=佐藤邦彦(本誌編集長)

―まずは、栃木サッカークラブ(以下「栃木SC」)について教えてください。

栃木SCは、栃木県宇都宮市をホームタウンとするサッカークラブです。2009年からJリーグに参戦し、現在はJ2リーグに所属しています。

―江藤さんは、マーケターや起業家、SNSのインフルエンサーとして活躍されていました。別世界であるサッカークラブに転職したきっかけはなんだったのでしょう。

私は昔からジェフユナイテッド市原・千葉の熱心なサポーターだったのですが、以前はサッカーを仕事にするなど考えてもみませんでした。 意識が変わったのは2018年です。代表を務めていた会社を退任することになって次の進路を模索していたとき、ネットで偶然、FC今治(現J3)の求人を見つけました。軽い気持ちで応募して最終選考まで残ったのですが、その際、サッカー界ではスタートアップやプロジェクトマネジメントの経験、メディア運営スキルが求められていると知り、私の経験が生かせると気づいたのです。その後、「Jリーグ」というキーワードで求人を検索し、栃木SCの募集を見つけて応募しました。

実は、栃木SCから内定を得たのと同時期に、より待遇がよく、自宅からも近い企業から誘われていました。しかし夫は、「サッカークラブで働けるなんてめったにないチャンス。頑張ってみたら」と背中を押してくれたのです。

来場者のデータを取りマーケティング施策に生かす

―江藤さんが入った2018年、栃木SCはどういう状況でしたか。

Jリーグでは、ファンに固有のIDを付与して行動履歴をたどれる共通基盤「JリーグID」を設けています。ところが栃木SCでは、2015年にJ3に降格した際、経費削減のためJリーグIDの利用を中止していました。そのため、当時は来場者のデータすら取れない状況でした。

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