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「持続可能なキャリア」は組織と個人の良い関係を重視する

キャリア

2022年02月10日 転載元:リクルートマネジメントソリューションズ

「持続可能なキャリア」は組織と個人の良い関係を重視する

近年、ヨーロッパから「持続可能なキャリア」という新たなキャリア論が登場して、広がりを見せている。キャリア自律を考える上でも参考になるだろう。そこで、持続可能なキャリア研究に詳しい、大手前大学教授の北村雅昭氏に、持続可能なキャリアの内容やポイントなどを伺った。

現代日本にも親和性の高い「持続可能なキャリア」という概念

「持続可能なキャリア」とは、キャリアを通じて、幸福、健康、組織貢献の3つが同時達成される状態を良いキャリアと見る考え方です。

持続可能なキャリアを提唱したのは、オランダのファン・デル・ハイデンとベルギーのデ・フォスという2人の女性研究者を中心とする研究者グループですが、私はこのことに大きな意味があると考えています。

なぜなら第一に、ヨーロッパは日本同様に高齢化が進んでおり、一足早く女性の社会進出が進んでいるからです。第二に、ヨーロッパらしく仕事だけでなく家庭や趣味を含めたホリスティックなキャリア論になっており、働いていない期間もキャリアと考える視点が入っています。第三に、情緒的なつながりや長期的な関わりを大事にする点が、ヨーロッパは比較的日本に似ています。

第四に、その上で人生100年時代やグローバル化、情報化など、最近の社会変化を踏まえた研究になっています。例えば、年をとってからどうイキイキと働くかを意味する「ワーカビリティ」という概念も取り入れています。第五に、以上の社会変化に伴うキャリアの不安定さを前提にしています。現代社会では、グローバル化や情報技術の発達による業務の大きな変化、転職、リストラや倒産、介護など、キャリアを不連続にするリスクが一層増えています。そのなかでいかにキャリアを持続可能にするかを追求しています。

以上をまとめると、持続可能なキャリアは、現代日本に親和性が高い概念です。人事の皆さんの参考になる点がきっと数多くあるはずです。

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