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【新しいキャリア論の“仮説”たち】「キャリア」を使わずに「キャリア」を考える

キャリア

2024年02月01日 転載元:リクルート ワークス研究所

【新しいキャリア論の“仮説”たち】「キャリア」を使わずに「キャリア」を考える

当たり前のように使っていた「キャリア」という言葉

改めてワークス研究所で、古くて新しい「キャリア」というテーマについて考えようとしたとき(前回記事はこちら)、1つの疑問が浮かんだ。そもそも、「キャリア」という言葉を、キャリア研究に携わっていない多くの方はどのように捉えているのだろうか ―。

人と組織の研究をする私たちがキャリアという言葉を使うとき、「なんらかの形で仕事人生と関係したもの」を想起しているように思う(ライフキャリアのように、育児、趣味、地域活動なども含めて自分らしい人生を送るといった趣旨の言葉もあるが、この場合もその1つとしての仕事が重要な位置を占めていることに変わりはない)。

しかし、改めて考えてみると「キャリア官僚」「携帯キャリア」といった言葉もある。病原性のウイルスに感染していて、症状は出ていないといった状態にも「キャリア」という言葉が用いられる。もしかしたら、キャリアという言葉を聞いたことのない人もいるかもしれない。

そして、組織人事領域の研究員だからキャリアという言葉が世の中にも浸透していると考えてしまってはいないか、という疑問が湧いた。そこで、「キャリア」というテーマを取り扱うにあたって、実態を把握し、仮説を構築するための調査を実施した(以下、プレ調査)(※1)。プレ調査では、設問に答えていただく前に(つまり事前情報なしで)、「あなたが『キャリア』という言葉を聞いて、想像することを自由に答えてください」と自由記述形式で尋ねた。


キャリアは「積み上げるもの」「意識高い」というイメージ

名詞と動詞の係り受けの出現率ランキングを確認した(図表1)(※2)。結果は、1位「経験-積む」、2位「ばりばり-働く」、3位「経験-積み重ねる」「頭-良い」であった。「キャリア」を仕事関連の言葉として捉えている人が多いことがわかる。また、仕事関連の言葉について詳細をみていくと、「経験-積み上げる」「長い-働く」「経験-得る」「仕事-続ける」といった、時間をかけて積み上げていくようなイメージのものと、「ばりばり-働く」「ばりばり-仕事する」「頭-良い」「学歴-高い」といった、少々「意識高い」と見られるようなイメージに分かれた。

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