飲食業を“ 憧れの業界”にしたい–原価高騰・人手不足に挑む飲食店の経営管理。『Airメイト』による数字の見える化で従業員が育つ店づくり

株式会社青者の代表取締役・渡辺慎一郎さん

株式会社青者の代表取締役・渡辺慎一郎さん

物価高や人手不足、原料価格・人件費の高騰が続く飲食業界では、小規模店舗が持続的に成長していくための経営基盤づくりが課題となっています。日々変動する売上やコストを把握し、状況に応じて適切な判断を行うには、どのような仕組みが必要なのでしょうか。

今回は、経営サポートサービス『Airメイト』をはじめとする「Air ビジネスツールズ」を活用し、売上・原価・人件費などの経営情報を見える化。従業員が主体的に働き、成長できる店舗運営に取り組む、居酒屋「あおもん」を展開する株式会社青者の事例をご紹介します。

目次

飲食店の倒産は過去最多に。変化の大きい時代に、小規模店舗はどう成長を続けるか

物価高や人手不足を背景に、飲食店を取り巻く経営環境は厳しさを増しています。帝国データバンク「『飲食店』の倒産動向(2025年)」によると、2025年の飲食店倒産は900件となり、過去最多を更新しました。倒産件数は3年連続で増加しており、団体客の減少や節約志向の高まりに加え、原料価格、人件費の高騰が経営に影響しています。飲食店は売上や原価に関わる日々の変化を捉え、適切な対策を打つことが、事業を続けていく上で重要になっています。

しかし小規模店舗では、日々の営業を支えながら、売上や経費を正確に把握・分析するための時間を確保することが容易ではありません。中小企業庁の「地域の持続的成長に向けた創業政策のあり方検討会」の報告書(2026年4月)でも、地域経済の供給力を維持するには「量的な対策(創業数を増やす)」だけでは不十分であり、中小事業者の経営リテラシー、すなわち経営を理解し管理する力を高める必要性が示されています。限られた人員と時間の中で経営管理の質を高めるための一手として、DXの推進やAI活用といったデジタル技術を活用し、業務の効率化とデータに基づく判断を進めることが求められています。

2010年~2025年の「飲食店」の倒産件数推移グラフ。 「帝国データバンク「『飲食店』の倒産動向(2025年)※負債 1000万円以上、法的整理による倒産を集計」によると、2025年の飲食店倒産は900件と過去最多を更新。倒産件数は3年連続で増加。

紙の伝票で生じた9,600円の損失。現場の疲弊を防ぐために始めたDX

2023年に東京・五反田で創業した居酒屋「あおもん」は、新鮮な青魚料理を提供する“大人の居酒屋”として、連日予約客で席が埋まる人気店です。運営する株式会社青者の代表取締役・渡辺慎一郎さんが掲げる理念は「飲食業を憧れの業界に」。その実現に向け、従業員が安心して長く働ける環境を整えることを、創業以前から大切にしてきました。そのひとつが、デジタルツールを活用した業務の見直し(DX)です。

渡辺さんがDXを進める背景には、かつて勤めていた店舗での経験があります。当時は紙の伝票を使い、会計時に一件ずつレジへ入力していたため、打ち間違いや打ち漏れが起こることがありました。そのリスクを痛感したのは、1,200円の刺し盛り8名分を会計に反映し忘れ、9,600円の損失が発生した時。飲食店の利益率は約10%前後なので、売上96,000円分のみんなの努力が一瞬にして水の泡になってしまったのです。また、売上や経費についても、納品書や領収書の内容を手作業で転記する必要があり、計算が合わないときには原因を探すだけで大きな負担になっていました。

「こうしたやり方を変えていかないと、働く人たちが疲弊して長く続けられない」という危機感から、渡辺さんは販売情報を記録し、会計や売上の管理に活用するPOSレジアプリ『Airレジ』の導入を提案。その後も、決済サービスの『Airペイ』、経営サポートサービスの『Airメイト』、シフト管理サービスの『Airシフト』、オーダーシステムの『Airレジ オーダー』と、「Air ビジネスツールズ」の複数のサービスを活用しながら店舗のDXを推進。手間やミスが減ったことで、スタッフがイキイキと働きながら、お客様へのサービス提供に集中しやすい環境づくりにつながりました。

株式会社青者の代表取締役・渡辺慎一郎さん

「今日の店の状態」が手元でわかる。『Airメイト』が育てた経営者目線

独立前から積み重ねてきた経験をもとに、渡辺さんは「あおもん」の創業時にも「Air ビジネスツールズ」の導入を検討しました。初期投資を抑えられることに加え、決済、会計、予約、シフトなど、異なる情報を管理しやすい点に魅力を感じたといいます。

なかでも渡辺さんが重視しているのが、経営サポートサービス『Airメイト』です。売上、客単価、原価、人件費など、店舗運営に必要な数字を集約し、さまざまな角度から確認・分析。特に恩恵が大きいのは、経営の数字を「簡単に」「タイムリーに」見られることだといいます。

飲食業の仕事は、お店の中を歩き回りながらマルチタスクで動いていることが多く、わざわざパソコンを開かないといけない作業はつい後回しになりがちです。その点、『Airメイト』は忙しい合間や移動中にも簡単にスマートフォンで確認できます。「数字を見ることが習慣になりました。また、日々の人件費や原価率、売上などがタイムリーに反映されるため、“今のお店の状況”が見えるのが良いですね」と渡辺さん。

また、「あおもん」の看板である青魚は、日によって仕入れ値が変動しやすい食材です。飲食店は一日として同じ日はありません。今日は魚の仕入れ値が高いから、ほかの食材を調整して原価率を抑えよう。客足が鈍いからいつもより早く閉めよう。と、その場で対策を打つことが大切です。「『Airメイト』は飲食店に合ったタイミングで数字を集計して見せてくれるから、私たちにとって“使えるデータ”を提供してくれる感覚です」と渡辺さんは語ります。

そして何よりメリットに感じているのが経営の数字を「みんなで」見ること。店長や社員だけでなく、アルバイトスタッフにも、当日の売上目標や現時点の売上額など、一定の情報を共有しています。一人ひとりが自身のスマートフォンで数字を確認できるようになったことで、売上の状況に合わせてオペレーションを見直したり、お客様への接客を工夫したりと、スタッフ自身が考え、行動する場面が増えたといいます。

「指示を待つのではなく、経営者に近い目線で主体的に動く。そんな力を一人ひとりが養うきっかけになっています」と渡辺さん。『Airメイト』による数字の見える化は、経営管理を支えるだけでなく、スタッフ全員が店舗運営に関わる意識を育てることにもつながっています。

(左)「あおもん」の厨房にて、スタッフ3名と渡辺さんが笑顔で並んでいる写真(右)スマートフォンで『Airメイト』を操作している手元の写真

数字の見える化が生んだ次の一手。働く仲間の成長を支える店舗拡大へ

「あおもん」では、売上と原価をリアルタイムで確認しながら、日次・時間帯単位で細かな調整を行うことで、原価率の変動を大幅に抑えています。食材費や燃料費が高騰する状況においても、むやみな値上げや無理な価格据え置きではなく、状況に応じた現実的な価格設定で商品を提供しています。

渡辺さんが大切にしているのは、確保した利益を、お客様だけでなく従業員にも還元することです。「完全週休2日制や高水準の給与体系など、従業員が安心して意欲的に働ける環境を用意したい。そうすることで、お客様へのサービスレベルも向上していくはず」と語ります。

2026年中には、あおもん創業の地である五反田に4店舗目を開く予定です。出店の目的は、事業規模を広げることだけではありません。「2店舗目も3店舗目も、あおもんが好きで働いてくれるみんなに、さらなる活躍の場を提供したいという想いで出店しました」と渡辺さん。働く仲間が成長を実感しながら、新たな挑戦を続けられる機会をつくることを目指しています。

スタッフの成長に合わせて店舗を増やしていくためには、日々の経営を把握し、適切な判断を続けられる体力が必要です。「『Airメイト』による経営管理は、会社が店舗拡大の体力をつけるためだけでなく、次世代の店舗責任者を育てるための土台になっていると思います」と渡辺さんはいいます。

売上・原価・人件費などの経営情報を把握し、日々の状況に応じて判断することは、変化の大きい飲食店経営において重要です。リクルートが提供する『Airメイト』をはじめとする「Air ビジネスツールズ」は、こうした日々の業務や経営管理をデジタルで支えることで、事業者が従業員やお客様への価値提供に向き合う時間を生み出すことを目指し、小規模事業者の業務負担軽減と生産性向上を通じて持続的な事業運営を支援してまいります。

※掲載内容は2026年 8 月時点の情報です

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