両立支援 夫婦ストレス解消★30日間ブートキャンプ

夫婦間ストレス解消に2週間トライしてみた!うまくいったこと、いかなかったこと|Season1 妻編04

夫婦間ストレス解消に2週間トライしてみた!うまくいったこと、いかなかったこと|Season1 妻編04

「お互い働いているのに、私ばっかり家事してない?(泣)」「オレだって、よかれと思って家事してるのに、いちいち文句言わないで!」好きで一緒になったはずのパートナーなのに、イライラは募るばかり。そんなストレスを抱える働くパパとママのための新企画がスタート。匿名座談会で夫婦間のモヤモヤとイライラを包み隠さず吐き出しながら、夫婦間コミュニケーションのプロのアドバイスをもとに、ごきげんな関係へと改善を試みていく30日間の様子をレポートします。

今回は、ワーママ3人が前回のセッションで決定したそれぞれのトレーニングメニューを2週間実践してみた中間報告です。実際に取り組んでみた感想と、後半の2週間に向けて、今回も特定非営利活動法人子育て学協会 会長 山本直美先生からアドバイスをもらいました。「怒らない子育て、パパ育ては無謀!?」「勝手にパパが動きたくなるユーモアアプローチとは?」今回は基本からさらに進んだコミュニケーションの作戦をたてていきます。

【3人が設定したトレーニングメニューはコチラ】

 Aさん: ①ファミリーカレンダーで目標設定をする ②夫の話をちゃんと聴く
 Bさん: ①お互い成長期と思って夫に接する ②「ありがとう」を具体的に言葉にする
 Cさん: ①ファミリーカレンダーを作成する ②家で休日を楽しむ ③パパを応援する

⇒ Season1 妻編01『夫へのイライラ』は爆発寸前!3名のワーママが関係改善に挑む!
⇒ Season1 妻編02『夫へのイライラ爆発』予防策を身につけよ!
⇒ Season1 妻編03 理想のごきげん夫婦になるために!関係改善目標をたてよう

座談会参加者紹介

<座談会参加者紹介>

Aさん(左)
サービス業正社員の企画職。1人目を出産後、10時〜18時の時短勤務と一部リモートワークに。2人目を出産して育休中。夫は昨年退職、今年に入って起業。家事分担比率は妻85%、夫15%。保育園に通う女の子と、0歳の男の子がいる。

Bさん(中央)
小売業正社員で海外事業部バイヤー職。9時45分〜16時35分の時短勤務と一部リモートワーク。夫は正社員で土日休みのフレックス勤務。家事分担比率は妻70%、夫30%。1歳の女の子がいる。

Cさん(右)
ベンチャー企業正社員。9時30分〜16時30分の時短勤務。夫は最近起業。家事分担比率は妻57%、夫22%、状況に応じてが21%。1歳の女の子がいる。

「一つずつほめる」作戦は子育てにも使える!

山本先生: Aさん、Bさん、Cさんこんにちは!それぞれたてたメニューに2週間取り組んでみて、何か変化はありましたか?

座談会

Bさん: 夫に子どもを預けて出かける機会が何度かあったときに、「何がありがとうなのか具体的に伝えてみよう」という先生のアドバイスを思い出して、「おかげでよい時間が過ごせたよ、ありがとう」と素直に気持ちを言葉にできました!

本当は、逆のときに夫からも感謝の言葉が返ってきたら嬉しいんだけどな...、なかなか難しいですね。あとは日々の家事をほめたら、夫の家事レベルが少し上がりました!

山本先生: 素晴らしい!「ありがとうを具体的に」と、「一つずつほめる」というのは大きな武器になりますよね。

「一つずつほめる」作戦は子育てにも有効ですよ。子供がご飯を食べるときの姿勢が気になったら、「背筋が曲がってるよ」なんて言わずに、「昨日より背中まっすぐになったね!背中を触らせて。」なんて言う方が姿勢も良くなるものです。少しでもできたら、細かく言葉で表現してほめるというのが大切なんです。

全員: なるほどー。

「怒らない子育て、パパ育て」は無謀です!

Bさん・山本先生

Bさん: もうひとつ、夫も自分もお互いまだまだ成長期だというスタンスで、自分がご機嫌でいるために、できるだけニコニコと、よい言葉を使うように意識しました。前に比べるとちょっとしたことでイライラしなくなったかなと思います。

山本先生: 素晴らしいですね。でも、そもそもは、子育て世代はママもパパも機嫌が悪いものですよ。子育ても、仕事も、家のこともして...疲れてあたりまえです。

そのうえで、私がお伝えしたいのは、絶対に自分を嫌いにならないでね、ということ。

今、怒らない子育てが流行っていますが、私は無謀だと思います。思うようにならない子育てで怒らない人なんていないので、もし怒っちゃったとしても大丈夫です。

そんなときは「ママ、忙しくてね」「もっと笑っていたいんだけど、ごめんね」「一緒に頑張ろうね」ときちんと伝えたら、子どもは不安になりません。

Bさん: 本当にそうですね...。

山本先生: Bさんからさっきパパにも感謝してほしいという話があったけど、ぜひ素直に言ってみてください。そうすると、驚くくらいちゃんとやってくれますよ。 「何々してくれない」という「くれない」症候群になったら不幸の始まり。

Bさん: なるほど!!

山本先生: ママとパパは別人格だし、相手をいじめている気もないわけですから。

ただし「怒り方」にはコツがある!

ただし「怒り方」にはコツがある!

山本先生: 子育てでも、2歳も超えたら答えを言わないのがポイントだと私は思っています。

「こうしなきゃダメ」と、怒って答えを言うのは'しつけ'としては最悪です。「どうしたらよいと思う?」と考えさせて、失敗したときには「あら?おかしいな」くらいでいい。本人もやっちゃいけないのはわかるので、脅す必要はありません。

Cさん: 自分の子どもがお友達を傷つけるような言葉づかいをしているのを見ると、「〇〇って言いなさいね」と言ってしまいます。

山本先生: それはそうですね。言葉を覚えていく時期なので、「もうちょっと違う言い方があるかな」とやさしく伝えてみてください。 うちの園でも「このごはん嫌いって言わないで、苦手って言うようにしようね」とか、「お返事は、はい!の方が気持ちいいよ」と言うと、みんな素直に「はい!」って言いますよ。

そのうえで、わかってくれたと思ったら「このお話はこれでおしまい」と言うと、子どもはちゃんと気分を切り替えられます。

大人の喧嘩の原因は、日本人独特の甘えの構造!?

山本先生: 怒ったときの気持ちの切り替えや、喧嘩をさっぱりと終わらせるのは、大人の方が難しいかもしれません。日本には独特の甘えの構造があって、関係性の悪くなるような言葉や態度を見せても、家族なら許されると思ってしまうところがあります。だから、前回お伝えしたように、イライラや喧嘩の終わらせ方を自分達で決めておくといいです。

Aさん: 私もこの前、夫と「折り合いの付け方も決めよう」って話しました。何か甘いものとかリクエストして買ってきてもらう、それで喧嘩モードは終わりということにしようと。

山本先生: いいですね!
私も主人がゴルフに行くときに、「日本にはお土産という素敵な文化がありますよ」と伝えたら、それから毎回、何かしら買ってきてくれるようになりました。そうなると、「また楽しんできてね」って心から言えますよね。

可視化をしたら家族にチーム感ができた!

山本先生: Aさんはいかがですか?

Aさん: まずは夫婦できちんと向き合う場を設けることにして、子どもを含めてファミリーカレンダーで月の計画と目標をたてました。

山本先生: お子さんが作ったカレンダーを活動報告として送ってくれていましたね。かわいい!感動しました!

ファミリーカレンダー

ファミリーカレンダー

Aさん: みんなでファミリーカレンダーを記入して運用することで、家族でチーム感が出て盛り上がったんです!予定の件で話がこじれることもなくなって、みんなで可視化するって大事だなと。

子どもに注意したくなったら自分を見つめよ!

Aさん: 後、これまでは夫との会話も「ながら作業」になっている反省があったので、5分10分でも時間を作って話を聞くように意識したら、起業している夫の仕事についても相談されることが増えました。

Aさん・山本先生

山本先生: よいですね。パパはAさんに一番応援してもらいたいから。改めて向き合ってみてどうでしたか?

Aさん: お互い目を見て話せていなかったという気づきがあって、基本的なコミュニケーションから、もう一回取り組めているのかなと感じます。子どもに「ちゃんとお話聞こうね」なんて注意するのが恥ずかしいですね(笑)。

山本先生: おっしゃる通り。「子どもに伝えたいことを、まず自分ができるようになってみよう」って思いながら日々過ごすと、子育てがスムーズにいくような気がしています。子育ては自分育て。まず自分を振り返ってみると、成長の機会にもなりますね。

例えパパが週末いなくても一緒に過ごしている感覚になれる

山本先生: 家族でチーム感が出たということですが、具体的にはどんな変化でしたか?

Aさん: パパと娘の会話が増えましたね。夫もカレンダーに書いてある子どもの週末の予定を意識するようになって、自然と話が進むように。当日一緒でなくても、夫もその予定に参加している感が出てきたのかな、と。

山本先生: 関係性がよくなっているのですね!ママにとって、子どもとパパがよい関係を築く姿を見るのは、とても幸せなこと。ママは自分から生まれた子どもを自分の一部分と感じやすいから、パパが子どもをかわいがるというのは、自分をかわいがってもらっているように感じると言われています。

Aさん: 確かに、すごくほっこりと幸せな気持ちになります。関係性は確かによくなっていますが、まだまだ日々反射的にイラっとした対応をしてしまうので、少しずつ進歩していければと思います。

人は目的がイメージできないとやらないもの

山本先生:  Cさんはいかがですか。

Cさん: 主体的に休日を楽しむことと、パパの起業を応援する気持ちで休日も気持ちよく仕事に送り出すことはうまくいきました。

Cさん・山本先生

ただ、ファミリーカレンダーを使って一緒に予定をたてるのは、ハードルが高かったです...。

「カレンダーアプリの内容を転記しておいて」と言われて「それじゃあ意味がないよ」と説得したり。「一緒に予定をたてるのではなくて、お互い助け合うのがチームだと思ってる」とか、いろいろと屁理屈をこねられて...、結果的には一緒にファミリーカレンダーに記入してくれたのですが、うちの夫にはこの方法は向かなかったのかも。

山本先生: 動機づけをしないと人はやらないものですから、例えば「自分たちらしい、楽しい家族を作りたい、そのためにやりたい」などと、目的をイメージできる伝え方をしてみてはどうでしょうか。

Cさん: 確かにそうですね。やってみます。

ユーモアアプローチで明るく夫を動かす

山本先生: パパに「こうしてほしい」と思うことを伝えるときに、おすすめな方法がもう一つありますよ。私が得意なのはユーモアアプローチです。

私はリビングが汚いと嫌なタイプなんですが、主人が先に帰っている日は、散らかっていることがあって。そのときは、「あら、今日は泥棒が3人くらい侵入したみたい」とユーモアをもって伝えます。

すると相手も「今日の泥棒は激しいね」って笑って返してくれて、自分で片付けはじめたり。イライラしても、ユーモアで心に隙間を作ってみるといいですよ。

Cさん: この方法はうちの夫にも効きそうです。

私は夫がソファーに横になっていると「邪魔なんだけど...」と言ってしまうんです(笑)。そういうときは、どんな言い方をしたらよいのでしょうか?

山本先生: 「もう少しお詰めいただいて...」って。「邪魔」なのか「詰めてもらう」のか。ネガティブな言葉を、ポジティブな言葉に転換するように配慮するだけで、生活は変わっていきますよ。言霊です。

Cさん: なるほど!

ドカンと切れる前には予告せよ

Cさん: 例えば、何度も繰り返されて、堪忍袋の尾が切れてしまったら?

山本先生: 「切れますよ」って予告するとよいですよ。学習しますから。

全員: (笑)

山本先生: これはパパにも子どもにもよい影響があって、予告するとやるようになる。「あと3回で切れますよ」「はい2回目」、そういうコミュニケーションを取ると、子どもたちも「数えないで...やるから」なんて言うらしいです。

Cさん: かわいい!でも、うちの夫には効かなそう...。

Aさん: (笑)うちは効きそうです。

先に言っておくことで自分もブチッとなるのを予防できる。自分の心の平穏のためにも、抱え込まずに先に予告して怒りの感情を手放した方がよいですね。

山本先生: みなさんよかったらやってみてくださいね。

役割分担の一歩先へ。家族で一緒にできることは?

山本先生: 2週間後の最終報告会に向けて、プラスでご提案したいのは「家族で一緒にできること」を考えてみることです。

子どもをパパが遊ばせている間にママは片付け、という役割分担をよくやりがちですが、子どもはママとパパと一緒にいたいんです。「どこに行きたい?」より「誰といるか」、「何食べたい?」より「誰と食べるか」が大切だから。

何かひとつ家族で一緒にやることを決めて、ぜひトライしてみていただきたいですね。

最終回へ向けて、新たな目標を宣言せよ!

最後に後半2週間に向けてぜひ一言ずつお願いします。

Aさん: 怒りの感情をぶつけてしまう前に、ユーモアアプローチを取り入れて、子どもに対しても夫に対しても先手を打つことをやってみたいと思います。

Bさん: 感謝の気持ちや怒っている気持ちを具体的に言葉にすることをひきつづきやってみたいと思います。今日もたくさんのヒントをいただいて、ありがとうございました!

Cさん: 子どもにとって何をやるかより誰とやるかが大事という話、本当にその通りだと思います。「子どもの幸せが一番」という目的を忘れないで、まずはユーモアアプローチを取り入れてみます!

(最終回妻編05に続く)

プロフィール

山本直美氏

山本直美氏

特定非営利活動法人子育て学協会会長。(株)アイ・エス・シー代表取締役。幼稚園教諭を経て、大手託児施設の立ち上げに参画。95年より自らの教育理念実践の場として、保護者と子どものための教室「リトルパルズ」を運営。キッザニア日本進出時の安全管理監修、リクルート事業所内保育室やウィズブック保育園、リトルパルズ・アカデミーなどを運営。独自の教育プログラムや保護者向けの講座を提供。著書に、『できるパパは子どもを伸ばす』(東京書籍)、『子どものココロとアタマを育む 毎日7分、絵本レッスン』(日東書院)など。
(株)アイ・エス・シー
特定非営利活動法人子育て学協会

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