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気になる子どもの教育費。お金のプロに聞いてきた!

気になる子どもの教育費。お金のプロに聞いてきた!
将来の家計を考える上で外せないのが、子どもの教育費。子どもには希望する進路に進んでほしい、大学までは行かせたいなど漠然と思っているけれど、「いくらかかるのか」、「どう準備すればいいのか」、イメージがつかないという人も多いのではないでしょうか。そこで、そんな悩みを数多く解決してきたお金のプロ、ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんに、教育費に関するアレコレを聞いてきました。教育費が足りないと不安に感じられている方や、これから貯めようと思っているけれど、どうしたらよいかわからない方必見です!

子どもの教育費っていくら?

子どもの教育費っていくら?

―子ども1人につき、大学までの教育費はどのくらいかかるのでしょうか?

たとえば、いちばんお金がかからないのは「高校まで公立で、大学も国公立」の進学コースです。都市部以外の地域だと、わりと高校まで公立のことが多いですね。しかし、大学からひとり暮らしを始めることも多いため、その場合、学費に加えて毎月の仕送り費用がかかることに。この仕送りを含めると、総額で1400万円くらいかかります。

―進学先によっては仕送りについても考える必要があるんですね。都市部ではどんなケースがありますか?

私がご相談を受けている例ですと、都市部の共働き家庭が多いこともあると思いますが、「中学から私立中高一貫校に入学し、大学は私立文系」というパターンが多いです。この場合、受験にかかる費用なども合わせて試算すると、総額1900万円くらいかかります。

また、ずっと公立希望でも、受験結果によっては高校から私立、といったように想定外に費用がかかってしまうこともありますよね。ほかにも、大学の学費は学部によってずいぶんと差があるので、文系の学費を想定していたら、理系に進学して学費が足りないということも考えられます。浪人したり、大学院に進学したりすれば教育費はさらにかかりますよ。

―ほかにも見落としがちな教育費関連の費用などあれば、教えてください。

たとえば、制服代や教材代、遠足や修学旅行代です。また、子どもが大きくなると部活動のユニフォーム、道具類、遠征費などもかかり、意外と見落としがちな出費は多いですね。こうした費用も盛り込んで、多めの金額を想定し、準備することが大事ですね。

―足りない…と心配しすぎる必要はありません!今からでも間に合う、教育費の貯め方

必要以上に心配しなくても大丈夫です。細かくシミュレーションして家計の不足分を実感できれば、今から備えることができますよ。たとえば専業主婦家庭の場合、ふたりで働くとどうなるか、いつからどんな仕事だったら無理なく始められるだろうか、などと建設的に考えることが大切です。少しずつ働いて30年間50万円ずつ貯金すれば、1500万円貯められますよ。

教育費はゴールを見据えて準備!

教育費はゴールを見据えて準備!

―「幼児教育・保育の無償化」で、“浮いた”お金を習い事に、と考えていますが、習い事にはどれくらいかけてもいいですか?

幼児教育・保育の無償化は、3~5歳のお子さんがいる家庭にとってはありがたい制度ですよね。幼稚園や保育所、認定こども園の利用料が原則無料となり、さらに幼稚園の預かり保育が1.13万円/月まで、ベビーシッターや病児保育、ファミリーサポートなど認可外保育施設の利用料も3.7万円/月まで無償になります。お金の余裕ができるなら、かわいいわが子に習い事を、と思ってしまうのも無理はありません。

でもちょっと待ってください。教育費は一度かけ始めると、減らすのは大変です。新たな習い事を始める前に、まずは将来の教育資金をちゃんと用意できそうか、見通しをたててみましょう。中学受験を考えている人は、小学校高学年から教育費のピークが始まり、大学卒業まで10年以上も続きます。高齢出産や年の差夫婦の場合、子どもがまだ大学生のうちに自分たちが定年を迎えたり、親の介護にかかる費用と教育費の出費が重なる可能性もあります。先々を見通すと、今が貴重な教育費の貯め時ということに気づくかもしれません。

―家計状況を把握し、習い事にいくら使えるか確認しよう!

無償化でも、通園バス代、食材費、教材費、各種イベント費用など、自己負担が続く部分もあります。無償化で節約できる金額がいくらか冷静に確認してから、将来のために貯める部分は貯蓄を始め、残りを習い事に使うなど、メリハリをつけられるといいですね。お金を貯めるときは「全体像を見てゴールから用意する」が鉄則。使いすぎを防ぐために、全部でいくら使えるか、どこに使いたいかをはっきりさせておきましょう。まずは、夫婦で家計状況について把握したり、話し合ったりすることからはじめてみてください。

―子どもが2人、3人いる場合の、教育費の考え方

性別格差、兄弟格差などは、いまだによくある問題です。「お兄ちゃんにはお金をかけたのに、弟の僕にはかけてくれなかった」などと深刻な恨みを残し、相続の際にトラブルになるケースもあるんです。2人目、3人目も教育のチャンスは1人目と平等に用意しておくことが基本です。

教育費は奨学金でカバーできる!?

教育費(学費)は奨学金でカバーできる!?

―奨学金制度を活用するというのは、どうでしょうか?

活用している方は少なくありません。現に大学生の5割近くが、なんらかの奨学金を利用しているという統計データもあります(※)。学費の一部を奨学金で賄い、毎月2万円くらいを20年間ぐらいかけて返済する人は多いです。でも中には上限まで借りて、卒業後に毎月7~8万円返し続ける人もいます。

※日本学生支援機構「平成28年度学生生活調査結果」より

―奨学金に頼らず、教育費は今からコツコツと準備することが大切

そうなんです。新入社員のときから返済に追われてほとんど貯金ができず、結婚資金や住宅資金を準備する余裕もない…。もしそんなことになったら、子どもがすごく苦労することになってしまいます。大学院や留学費用など、想定外にかかった費用を本人に負担させるのは、子どもの経済観念を育てるためにもよいと思いますが、主要な費用を全て奨学金に頼るのは危険です。

―専業主婦の方は、「働く」という選択肢も視野に入れて!

働けるときに働くことで、その後のマネープランが大きく変わってきますよ。共働きなら、片働きより家計に余裕ができます。子どもが小さいうちは少ししか働けなくても、大きくなるにつれて所得が伸びていく可能性があれば、さらに自由度が増して選択肢を増やしていけます。子どもの将来のためにも、働くこと、働き続けるという選択もあるのではないでしょうか。

お話を伺った方

ファイナンシャルプランナー氏家祥美さん

ファイナンシャルプランナー
氏家祥美さん

女性のためのお金と仕事の相談室「ハートマネー」代表。女性活躍応援FPとして、働き方や夫婦・親子関係も含めたマネーアドバイスが好評。お金・仕事・時間のバランスのとれた幸福度の高い家計を追求。自身も2児の母。

〈2022年9月30日 更新〉

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